ギャンブルは偉大だ-その2

確率やゲーム理論は大変興味深いのでもう少し書く事にした。

今月のクーリエジャポンによると、今世界3位の富豪は、大規模カジノのオーナーであるSheldon Adelsonだということである。(ちなみに彼は、世界最大のコンピュータ見本市comdexの創業者であり、そのcomdexソフトバンクの孫さんにより500億円で買収された。)

カジノはなぜ儲かるのか、そして人はなぜ宝くじを買い続けるのか?
その答えは、行動ファイナンス理論にあります。(個人的に思ってる事ですがww)

これは確率論ともつながる話ですが、ある調査によると、人は正の結果を生むものに対しては、小さな確率を過大評価し、大きな確率を過小評価する傾向があるらしい。

その例が、宝くじです。

宝くじの当たる確率は、恐ろしく小さい。しかし人はその小さな確率を大きく見積もり、宝くじに夢を託すのです。

またカジノも然りです。カジノも宝くじ同様、人々がかける総額に対して、バックされる額はかなり小さい。つまりほとんどの人は勝てない。

しかし、人はその勝てる確率を過大評価するため、カジノに興じてしまう。

カジノが宝くじより大きなビジネスであるのは、それに加えて非日常空間に身をおけるなどという他のファクターがあるからでしょうが。


この点だけでも分かるように、人はそれほど合理的ではない。(それほどと書く理由として、人は確率を過大評価するが、かといって自分の持つ金全部を宝くじにかければ当たるだろうと信じるほど非合理的ではないということである。)

他にもこの合理的でない人間の性質を示す興味深い例として、大半の人は金額が大きくなると、確実な利益を選択するというものがあります。

例えば、「リスク」の中で取り上げられている例は以下のようなものです。

40万円を得る確率が80%、1円も得られない確率が20%のゲームと
30万円が確実に得られるゲーム(ゲームと言えないかもしれんが笑)
どちらを選ぶか?


多分、普通の人は後者を選ぶでしょう。でも数学的期待値で言うと前者の方が2万円多いんです。つまり人が真に合理的なら前者を選ぶはずです。

もう一つ似た例があります。

40万円を失う確率が80%で1円も損をしない確率が20%のゲームと
30万円を100%の確率で失ってしまうゲーム
どちらを選ぶか。

今度はどうでしょう。多くの人はおそらく前者を選んだはずです。数学的期待値としては前者の方が失う額が大きいにも関わらず。

そう人間はそれほど合理的ではないのです。


おそらく多くの人は、自分の意思決定にある程度自身があると思います。それは自分が合理的だと思っているからです。そして実際あらゆる人はある程度まで合理的です。

しかし、人間はそれほど合理的ではない(自分も然り)という認識を最初に持つ事で、人はより良い選択を行うことが出来るんじゃないかと僕は思ってます。(具体的な例があまり思い浮かびませんが)

まあ、だからどうしたって感じでしょうが、個人的にゲーム理論やら行動ファイナンス理論やらは大好きなので書いてみた笑(でも、ゲーム理論はあまりに数学的に難解で速攻で挫折しました笑)

他に個人的な考えを言えば、今やたら問題になってるサブプライムローンもこの人の性質が一因だと考えてます。つまり低所得者層が一斉にお金が払えなくなるようなリスクを過小評価した、金融機関上層部の決定が一因だと思います。リスクを扱うプロでさえこの調子なのだから、人の合理性なんて当てにならないもんです。