ゲーム理論にスーパー業界をあてはめてみれば
飲食業界の利益率はどうしてあんなに低いのだろうといつも思ってたのですが、ゲーム理論がその疑問を解いてくれそうな気がしたので書いてみる。
ゲーム理論ってのは、要はどうすれば自分が最高の利益を得る事が出来るのかを研究した理論。「ビューティフル・マインド」って映画に出てくるジョン・ナッシュが構築したものです。
この理論で有名なゲームに「囚人のジレンマ」ってのがあります。
ある事件の犯行を自白しない囚人A、Bに以下の選択肢を与える。
戦略a:自白する。
戦略b:自白しない。
そして二人が取った選択肢に応じて、以下のような刑が与えられる。
双方が自白した場合:2人共4年間の懲役
一方が自白し一方がしなかった場合:自白した方が5年の懲役、しなかった方は無罪放免
双方が自白しなかった場合:二人とも3年間の懲役
但し、A、Bは相談などは出来ない。
で、この場合だと一番良いのは、両方自白しないパターンだけど、色々考えて結局二人とも自白するパターンに陥る。これがナッシュ均衡ってやつです。
で、まあスーパー業界の場合だと、無数に店舗があるから難しいんだけどある特定の地域に、A、Bの2店しかないとするとこの囚人のジレンマとほぼ同じ状況になります。
つまり、スーパーの場合、商品自体の競争力が低いので、結局差別化の方法が価格になってしまうわけです。
でスーパーA、Bは囚人が双方自白してしまうのと同様に、両方が値下げをし、さらにその均衡の上で値下げをしと、永遠に値下げをし続けてしまう。
その結果、両方のスーパー共に悪いパフォーマンスになってしまうのです。
アメリカのウォルマートは非常に上手いやり方でこのような競争を避けてますね。
これらの企業は、郊外に出店してますね。
その理由は、ウォルマートのような大規模店舗一店で全ての需要がまかなえるために、競合はその地域に参入することが難しいからです。なぜならその地域に出店すると、共食いになってしまうからです。
この戦略を取ったために、ウォルマートは価格競争を引き起こさず比較的高いパフォーマンスを上げることが出来ているのです。
じゃあパソコン業界はどうか?
この業界でも、ほぼ製品のスペックに差を出す事は難しくなってきてます。そのために結局、東芝も日立も皆価格で勝負するはめになり結局利益率は低くなってしまっています。
この業界での高パフォーマンス企業の一つはDELLです。
DELLは、オンライン直販という方法と在庫を持たないで済むサプライチェーンを作ることにより、コストリーダーシップを取っています。そのため、競争力の高い価格を維持しつつ、高い収益を上げています。(最近はかげりがあるけど)
このコストリーダーシップ戦略はウォルマートも取っていて、ウォルマートのサプライチェーンは世界最高と言われています。さらにはスケールメリットにより、仕入れ先に相当な値下げをさせる力も持っているのです。
これらのことから察するに、コモディティ化された商品を扱う場合には、コストリーダーシップ戦略を取る事が非常に重要だと分かります。
スーパー業界もいくらなんでも5%にも満たない利益率の状況からは早く抜け出してほしいものです。ヤフーの50%には叶わないにしても。
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