楽天もうダメじゃないか疑惑-その3

ウォルマートがHDを完全に販売中止してブルーレイに一本化したらしいね。
21世紀の『ベータマックス VS VHS』抗争もついに終わるときが来たのだろうか。東芝がどうするのか興味津々です。


で、こんなに書くつもりなかったのに3回目になる楽天だめじゃないか疑惑です。

1回目と2回目は楽天が何らかの対策を講じていくだろうということに関して言及していないのでここでします。

楽天だって何らかの対策するでしょ。って話。

楽天が出来そうな対策は以下の4つです。

1.ユーザーが価格と品揃え以外の点で楽天を選ぶ理由を作る
2.楽天市場以外の新サービスを成功させ、楽天市場の失墜をカバーする。
3.企業買収
4.海外市場で楽天市場を成功させる。

1に関して
楽天が価格と品揃え以外の点で出来ることはなんでしょう。僕は以下の3つが主なものだと思います。
1-1.ユーザビリティ向上
1-2.ポイント制などの付加サービスの更なる向上
1-3.製品ラインナップの差別化

1-1に関してですが、ユーザビリティの向上はコンンバージョン率向上(買う確率向上)につながります。当然楽天は今でもこれに取り組んでいます。(評価機能など)
レコメンデーション機能や検索技術の向上にも取り組んでいるようです。ここは今後しばらく期待できそうな分野です。何しろ今の楽天の検索性能はザルですから。

1-2に関して
ポイント制に関しては今でもやっていることです。そして楽天のポイント制度は今でも十分秀逸です。これ以上ポイントをあげたからといって楽天の利益が増えるかというと難しいと思います。(楽天もそこのトレードオフを見極めて今のポイント制を作っているはずです。)
1-3に関して
これはだいつんが言っていた通り、プレミアム価値のある商品を販売するなどが考えられます。しかしこの戦略にも問題があります。前回の日記で書いた通り、楽天は中小企業の寄せ集めに過ぎません。楽天がプレミアム商品を作るなら、これらの中小企業を説得する必要がありますが、実際にそこまでの商品企画能力や予算がある企業がいるのかというと微妙なところです。

また、楽天はこれまであまりに安さを売りにしすぎたため、プレミアム商品を売り出したとしてそのブランド力には怪しいものがあります。

2に関して
ここに関しては無理って単純に言えないですが、かなり厳しい気がします。
少なくとも、今までのIT業界には一つのサービスで大成功しているような企業で、もう一個サービス作ったらまた大成功した、なんてケースほとんどないです。技術偏重の企業ならIBMの例がありますが。マイクロソフトにしたって、売り物はずっと一緒で、オフィスとOSのみです。他にも色々出してますがとても、オフィスやOSの出す利益にはかなわない。
しかしアップルがipodを成功させたように、楽天にも成功の余地があるかもしれません。

どちらにしても、確信を持って取り組めるとは言いがたい領域です。
(アップルにしたってたくさんの商品が失敗し、つぶれる寸前になったりしながらやっといま成功しているのですから)
3.に関して
この戦略は今までも楽天が取ってきたものです。今のところあまり成功してないようですが。

4に関して
三木谷社長曰く、海外には日本の楽天市場と同じビジネスモデルはまだない。だから海外で成功できる余地は十分にある。とのこと。

まあこれに関して疑問に思うのは、日本市場だけで2000億円もの売上げを出せるビジネスモデルがなぜ海外でまだ一個もないのか?

だって、まだ全く利益出てない、ニコニコ動画のサービスでさえ海外で真似されてるんですよ。2000億円規模のビジネスを海外の人が見て、誰も今までやってないのは明らかにおかしい。

国外ではほとんど成功出来るビジネスモデルじゃないから誰もやってないんじゃないかと思ってしまう訳です。

楽天の海外進出は、他の国内企業が海外に出始めたことや、国内企業が国内だけで満足していることに対する批判、国内での事業が頭打ちになったこと。などの事象が重なって慌てて取り組んだものだと見えます。あるいは株価を保つためにしているのかもしれないですが。

とりあえず、ここに関してはあまり期待できないと僕は思ってます。

サイボウズアメリカで全く結果が出ず撤退したように、国内のモデルをそのまま国外で当てはめて成功できるようなケースはかなりまれです。しかもインターネット黎明期ならまだしも今頃になってやるなんて、正直きついだろうとしか思えない。



結論

楽天がやたらweb2.0と言ってる理由がここまで考えてみて分かりました。
1-2,1-3は既に取り組んでいること、楽天が中小企業で構成されていることから難しい。
2の楽天以外の新サービスを産むということも難しい。
3は今までやってきて成功していない。
4は一応取り組み始めたが期待できない。

残されたのは1−1のみ
楽天はおそらく、自分たちの生き残りの鍵が1-1のユーザビリティ向上の部分にあると考えているはずです。

例えばアマゾンのことでやたらロングテールという言葉が騒がれましたが、このロングテールが生まれた一大要因はレコメンデーションにあります。

楽天ユーザビリティを格段に向上させれば、既存ユーザー一人あたりの年間購買額が増えるはずです。また、コアユーザーで無い人をコアユーザーに変えられる可能性もある。

また楽天は、API公開で楽天商品が目に触れる絶対量を増やそうとしています。

このAPI公開とユーザビリティ向上が結びつけば、今の成長をしばらく維持する事が可能なはずです。

楽天もうだめじゃないかと3つ続けて書いてきましたが、まだ2、3年は観察が必要なようです。

もし、ユーザビリティがそれまでにほとんど改善できなければ、やはり楽天はもうダメだと思いますが。

ユーザビリティ向上が先かユーザー離れが先かってことですね。